唐沢寿明さんの著書で『ふたり』(1996年)という本をご存じだろうか?

約25年前に出た本で、当時話題になりました。
当時の印象だと、選択子ナシと同時は斬新な考え方を表に出した夫婦だったと記憶していますが、、、、

ずっと気になっていてやっと読む機会に恵まれました。

毒親育ちのHSP目線での感想をまとめてみます。

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機能不全家族的な家庭的背景

唐沢寿明さんの家族の話から本は始まる。

家庭環境は穏やかなものではなかったらしい。

お母さんを守ろうと父親に反抗したら、出ていけとお母さんに言われて、高校も退学し、家を出るなど、なかなかな家庭環境だ。(お母さんに肩入れする気持ちめちゃくちゃわかる)

その後結婚の挨拶をするまで16年間家を訪れなかったようだ。
(私は、それだけ絶縁していて結婚の挨拶で訪れたんだ驚!という感覚だったが)

一方後半に、山口智子さんとの出会いと、山口さんの家庭環境が記されているが、山口さんのご両親は離婚されており、おばあちゃんに育てられるなど、原家族にトラウマのある事が書かれていた。

この二人もアダルトチルドレンの要素があるように感じた。

どんなに恵まれたように見える、順風満帆に見える、問題が無いように見える人にもいろいろな事情があるんだなぁと思った。



仕事でのまっすぐさ、葛藤とその夜明け

家を出て、食いつないでいる頃の話が本書の1/3~1/2程度を占めていた。

決して他人におもねらず、ただただ、演技がしたい、という欲望がシンプルで気持ちよかった。

生活はままならなかったようだが(そりゃそうだよね、高校を途中退学した俳優志望の人だもん)、「やりたいことをやる」という情熱が読んでいてヒシヒシと伝わってきた。

やりたくないことは、心血注げないから、クレームを受けたり、人とぶつかることも大いにあったようだ。

徐々に人との出会いや摩擦の中でポロシャツ、ベストを着た『さわやかキャラ』の自分と折り合いをつけていく葛藤の様子が、丁寧に書かれていてその部分に引き付けられた。

リアルの自分とは異なる自分、例えばエリートや育ちの良い人を演じ、唐沢さん本人もきっとそんな人なんだろうと思われるところは、自分の演技が上手にできた証だととらえるようになったと。

葛藤からの脱皮というか夜明けのようなものを感じた。
(夜明けの前は一番暗いっていうもんね)

生感が満載の人間関係

紆余曲折、唐沢さんはいろんな仕事で食いつなぎながら生活をする。

若いころの何人かの人との恋愛も素朴に書き記されている。

所属した事務所の人とのやり取りなども、生々しく記載されている。
(方向性の違いで幾度か事務所を変わっている)

転機は浅野温子さんの事務所に誘っていただいたあたりからだろうと思う。

人の縁は不思議なものだなぁと思う、どこかのタイミングで違う選択をしていたら、例えば『少しでいいから食費を入れてくれない』と当時の彼女に言われた時、覚めてその人と別れていなければ、、とか、、

(いやはや、どれくらいの期間かわからないけど、飲み食いだけしてお金を一切入れなければそりゃ、当時若いだろう彼女さんの財布もどんどんさみしくなるだろうし、それくらい言われても仕方ないよね、、、)

考察:自分らしいかどうか?

唐沢さんは自分らしい選択をその時その時の自分らしーーーーくこだわってきた。
その結果の貧乏も受け入れてきた。

ところにより、いい加減にでも一生懸命に自分の人生を生きてきたんだなと思う。

仕事がないころの自分も『仕事が無くても仕方ない人間だった』と振り返っていた。

その時その時の違和感もないがしろにせず、見つめて、対処してきた。

人と自分とぶつかりながら生きてきたんだと思う。

だからこそ、「この人はこうやって生きてきたんだなというヒリヒリした感覚」を強く感じながら本を読ませてもらった。

私は私らしさを押し殺すことで、世の中に迎合して、社会的に価値のある自分になりたかったように思う。

まぁまぁうまくいっていた、でもそれって楽しくない、苦しかった。

今は会社員の地位を捨てて、フーテンの人生夏休み中。
自分らしくいられる人生でありたい。